[2001.09.18]
  ネットワーク上の行動基準


 ▼テロへの報復,ネットでも――2つに割れるハッカーコミュニティ(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0109/17/e_hacker.html


 国の政治の基準で,ネットワークは動かない。動く必要もない。

 米国同時テロ後,自称60人以上のコンピューターセキュリティーマニアらが,パレスチナとアフガニスタンのサイトに対する攻撃を開始すべく結束したという。だが,ドイツのカオス・コンピューター・クラブは,このハッカー動員作戦を批判する声明を出してしている。FBIは,「愛国心」の名の下に行われるハッキングの増加,テロに関連した名前のついたウイルスの蔓延を警告している。

 バウ・ホラントの設立した(過去記事)カオス・コンピューター・クラブの声明は胸に突き刺さる。「この世界を善悪に切り分けること,宗教を善悪の基準にすることを考えてはいけない。相手を憎むよりも強い,コミュニケーションの力を信じる」。

 リアルにはリアルの秩序がある。時期がきたら,米国は米国同時テロ(過去記事)への当然の報復として攻撃を行うだろう。維持されなければいけない秩序に沿った行動として,それはある。だが,ネットワーク上に同じ秩序を持つ必要はない。愛国心を発揮する「国家」というカテゴリーはこの世界にはないし,邪魔じゃなければ相手の宗教観も静かに尊重する。もっと違う基準で,この世界は成り立たせなければいけない。報復のために,ネットワークを使うというのは,あまりに稚拙な政治力による基準であり,そのような政治力は排除したい。いやそんなもの,取り入れようと思っても,馴染まないだろうが。


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